「あなたが私の執事で…良かったわ」
「……私は…、Cランクで、まだまだ未熟ですが、」
「それが碇なのよ。あなたがSランクになんてなったら、それはもう碇じゃないもの」
「それは…褒めてくださっているのですか…?」
「私の専属執事のあなたなら分かるはずよ?」
素直にはなれない。
こんな私の執事になってくれてありがとう───なんて、やっぱり言えそうにない。
「…理沙お嬢様、」
「っ、ちょっと狭いわよ碇!」
「…寒いので、すみません、」
ベッドのなか、私のほうへ移動してくる。
空いていた隙間を埋めるように、布団のぬくもりのなかで、確かな男性の温かさ。
「そっち側けっこうスペース空いてるじゃないっ」
「…寒いので、すみません、」
まったく同じ言葉しか返ってこない。
そんなに寒がりだった…?
むしろ布団のなかは2人の体温で熱いくらいだというのに。
「理沙お嬢様は寒くないですか?」
「っ、」
息がふっとかかる。
そんなに甘い声をしていたのって、やっぱりびっくりする。



