初めてできた専属執事に切ってもらったことが思いのほか、私は嬉しかったんだと思う。
この人が私専属の、私だけの執事なんだって、そのとき初めて実感したというか。
『ありがとう碇!…あなたは私の、たったひとりの執事よ』
聖スタリーナ女学院へは執事と一緒に通うことは知っていたし、きっとランクもBランクあたりが揃うんだろうと想像できていた。
でももし、いつかこの髪型をクラスメイトに「かわいい」なんて言われたとき。
そうでしょ?
私の執事がやってくれたのって。
そう言える日がきたらいいな、って。
「───あのときのお嬢様の笑顔と言葉は、私の宝物です」
気づけばくるっと向き合っていた。
暗闇のなかでも見える、碇の潤んでいる目。
「私はあなたの執事となれて、本当に良かったです」
「……私もよ、」
「え…?」
困ることはたくさんあるけれど。
今日みたいに騒がしくて、手のかかるときばかりで。
でも、そこにはぜったい欠かせないものがあるから。
それは今だってそう。
笑顔だ、笑顔があるの、必ずそこには。
笑っていられるの。



