もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





ハサミを持つ手は心配になるくらいぷるぷる震えていて、私の髪に触れるだけで冷や汗を垂らして。

でもそんな碇がどこか面白くて、私は大人しくじっとしていた。



『………あっ、』



前髪を真横に揃えるだけで1時間近くかけていて、次は顔回りの髪へとハサミを通したとき。

碇から不安にしかならない声が聞こえてきた。



『…碇…?』


『い、いえっ、……とっても可愛らしいです…!!』


『……失敗じゃないの、これ、』


『そんなことないです…!!お姫様みたいですよ理沙お嬢様っ』



ぱっつんと切り揃えられた前髪と合わせるように、横の髪も顔の半分の長さで切り揃えられていて。


お姫様みたいって……、

まるで源氏物語にでも出てきそうな髪型をした私がいた。


のちに『“姫カット”と呼ばれているらしいです…!』なんて自信満々に碇は言ってきて。



『───ふっ、』


『やっぱり…ダメでしたか…?』


『ふふっ、あははっ!もうっ、なによこれ!!』


『お、お気に召してくださったのですか…?』


『微妙よ、変だものっ!ふふっ、でもこれでいいわ』