もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





私のほうへ布団をかけてくれる。

背中の先で碇がどんな体勢でどんな顔をしているのかすら、私には分からない。


けれど、微かに開いたブラインドの隙間から覗いた窓ガラスに映された影。

彼は私のことを見つめていた。



「やっぱり理沙お嬢様の髪はいつ見てもお美しいです」


「……」


「この色が私は好きです。この長さも、ぱっつんとしている前髪も、横の髪も」


「…あなたがそうしたんじゃない」



モカカラーをしたロングヘア。

色は前々からだったけれど、高校に上がる前にバッサリ切ろうかと思っていた。



「覚えていてくださったのですか…?」


「当たり前でしょ」



けれどそのとき、いつも担当してくれていた美容師が体調不良のためカットしてもらうことができなくて。

でもわがままな私は、どうしても髪を切りたいと押し通して。


最終的に碇がハサミを手にしたんだっけ。



『…ねえ、経験あるの?』


『お、お任せください…!私は理沙お嬢様の専属執事ですから…!』


『じゃあお願い。可愛くしてよね』


『は、はいっ』