広すぎる敷地内には、余すことなく使うかのようにたくさんの特別施設が設けられている。


花園や植物園、噴水場から始まって温水プールにフィットネスジム、エステティシャンが構える休憩場。

一流シェフが揃う食堂から、ティータイムにもってこいのカフェ、見つからない本は基本ないと言われる図書館。


在校生の私ですらまだまだ完全には把握できていないくらい、そこはまるでアミューズメントパーク。


それが、聖スタリーナ女学院の魅力のひとつと言っても過言ではない気がする。



「ではみなさん!今日は特別授業です!」



家庭科室に集まったクラスメイトはみんなエプロンを身につけて、髪が長い生徒はひとつにまとめる。


執事は壁際にズラッと並んで、自分のお嬢様の様子を穏やかな顔で見つめていた。

普段の座学の授業も同じように、必ずお嬢様を見守るのが執事の役目。



「先生、特別授業ってなんですか?」


「それを今から説明するわ」



この家庭科室だって、一流ホテルの調理場と言ったほうがしっくりくる。


清潔感漂うシンクに、たくさんセットされたガスコンロ、並んだ業務用冷蔵庫。

料理を照らす照明だってオシャレに取り付けられていて。


そんなお嬢様たちの調理実習が、今日も始まった。