「今日も眺めておられたのですね」


「べ、別に、たまたま目に入っただけよ」



素直じゃない私の性格はもう分かっているのか、彼は「はい」と言いつつも私の隣に立った。

ベッド脇、机の周り、そこには写真立てにして並べられた思い出が飾られてあって。


寮生活でなかなか実家には帰らない娘を持った保護者のため、日々の学校生活の様子を写真に収めるのも執事の役目。



「相変わらずバカエマだわ…」


「理沙お嬢様も楽しそうに写っていますよ」


「……うるさい、」



これは修学旅行で台湾へ行ったときの写真。

はしゃぐエマと何枚も何枚も撮って、もちろん私もかなり浮かれていたとは思う。


そんな私が手にする写真には、碇の姿も写っていた。



「最近はとくに理沙お嬢様とのお写真は撮れていなかったので、久しぶりで嬉しかったです」


「…そう、」



バカエマだったら素直に可愛げのある反応ができていたんだろうけれど。

私はこんなところだ。