「…子供みたいね、」


「え?」


「碇がお父さんで、私がお母さん、それでこの子は私たちの───…………、」



言葉が止まってしまったのは、隣の男が見たこともないくらいに真っ赤だから。


湯気でも出るんじゃないかと、爆発でもするんじゃないかと。

そう思ってはじめて、自分が放ってしまったとんでもない言葉を理解する。



「っ、べっ、別に深い意味はないわよ!?」


「はっ、はい…!もちろんでございます…!!」


「変な顔しないで!!それっ、早く戻しなさいよっ!!」


「わっ、えっとっ、戻せるものなら戻しているのですが…っ!!なかなか難しくてっ、しばらくお待ちください……!」



騒ぎ出す人間が鬱陶しいと思ってしまったのか、猫は気まぐれに逃げていってしまった。


やめてっ!!

この空気でふたりきりにしないで……!!



「へっ、変なこと想像してないでしょうね碇…!!」


「えっ、変な…こと……、……、」