私はやっぱり完璧なエリートSランク執事じゃなくて、この一生懸命なCランク止まりが良いとも思ってしまう。
「あっ!そうです理沙お嬢様!裏庭に行ってみませんか?」
「裏庭?」
「はい!かわいい野良猫たちがいると、前にエマお嬢様は言っておられました!」
そういえば。
あの子はいつも学校に迷いこんだ野良猫を助けて、校舎から少し離れた裏庭でお世話をしていると教えてくれたっけ…。
朝と放課後に必ずキャットフードと水を与えているらしく、少しだけ私も気にはなっていた。
「……でも猫なんか私、むりよ、触れないもの」
「ご安心ください!私がついていますから!」
もうサボるって決めちゃったし…。
時間つぶしと気を紛らわせることはできるだろうと、とりあえず裏庭へ向かってみた。
「かわいいですね!ふわふわですよお嬢様!」
「……虫は苦手なくせに猫は平気なの?」
「はいっ」
白い猫が1匹。
3匹はいるとエマは言っていたけれど、この時間にのんびり日向ぼっこをしていたのはその子だけだった。



