倒れかかるように、寄りかかるように。
悔しそうで悲しそうな顔をして、コツンとおでこをくっつけてきた。
「あの…理沙お嬢様、お背中に腕を回しても…?」
「…いい加減にして」
「ひっ…!す、すみません…!」
「いいわよ」なんて言えばよかったと、すぐ後悔してしまった自分。
そういうのは聞かずに、ここは強引にするものなの。
それができない碇はやっぱりCランク。
ちょっとくらい強引で男らしいほうが私は好きだったりするのに、碇は優しすぎる臆病者だから。
「モラルハラスメントは、精神的苦痛を与えてくるんです。心に…一生ものの傷が残ってしまうかもしれないんですよ、」
本当に私のことを心配してくれる声で、くしゃっと顔を歪ませた。
どこかのSランク執事と比べたら、そりゃあルックスも負けてしまっているかもしれないけれど。
笑うと八の字になる優しい眉に、奥二重の瞳、鼻筋も通っているし、唇は淡い桜色。
たまに幼く見えるときもあって、どこか親近感を持てる顔立ちが碇だ。



