「まさか殴っちゃうなんて!!あのときの碇の顔ね、本当に怒っててめちゃくちゃキレてたんだって!
ねぇお姉ちゃんっ、そうなんでしょ!?」
「ええ、“格好いい”ってつぶやいている生徒たちも居たわ」
「えっ、そーなの!?確かにギャップすごかったもんねっ」
やっぱりそうなんだ……。
そりゃそうよ、あんなの格好いいって思わないほうがどうかしてるわ。
そのあとSランク昇格の誘いも来てしまうし、断ってしまうし、いろいろ詰め込まれていた舞踏会だった。
「もしかすると碇の本当の姿ってそっちだったりしてっ!ハヤセと似たところがあるのかな?」
「…碇のほうが格好いいわ」
「えっ、」
まさか私がそんなことをポツリとこぼしてしまっていたとは。
エマの反応が聞こえてから我に返る。
「そんなことないもんっ!ハヤセのほうが格好いいもんっ!!」
「っ、碇も別に負けてないわ。一応はSランクだもの!」
「表向きはDランクだよっっ!あと泳げないよっっ!!」
「そ、それは仕方ないじゃない…!でも碇は私の言うことは何だとしても聞いてくれるし、男の人としてもすっごく……格好いいんだからっ!!」
「……えへっ」