「理沙お嬢様、あの、課題のほうは夜に回しませんか…?」
「ずいぶん早かったのね碇。もう少しゆっくりしてきても良かったのに」
「理沙お嬢様に会いたくなったんです」
「…いつも会ってるじゃない」
帰って早々、勉強机に夢中になるお嬢様をぎゅうっと背中から抱きすくめる。
「私はいま忙しいの。邪魔しないで」
これは彼女なりの強がり。
専属執事である自分にはお手のもの。
「まだ恥ずかしいですか?」
「っ…、いまは勉強中だからっ」
「可愛かったです、すごく。…ですので、」
「きゃ…っ!」
恥ずかしがっている隙に手前に回って、ふわっと抱き上げた。
ぽとん、
お嬢様が手にしていたシャーペンが課題の上に落ちる。
「いかりっ、離しなさい…!……っ、!」
緊張をほぐすつもりで、おでこに優しいひとつを落とす。
……逆効果だった。
ぶわわっと余計に赤くなってしまった顔と潤んだ目を見れば、さすがに止まれそうにもない。
「まだ明るいわ…っ、嫌よっ」
「前回は真っ暗であまり見えませんでした。それに、途中で気を失われてしまったので…、惜しいところまでいったのに…」
今日は電気を消したとしても見えてしまう。
これは不可抗力なので仕方ないでしょう?と、意地悪に笑ってしまう俺。



