ガタッと立ち上がった俺は、いつかの上司となる男ふたりに頭を下げた。
「今日からやります…!ぜひ俺もっ、そこに混ぜてくださいっ!!がんばりますっ、ありがとうございます…!!」
「ありがとうございますってなんだよ。まだ何も言ってねえだろ」
「お役に立てるように一生懸命がんばります…!!俺っ、周りに好かれる愛嬌だけは昔からありますのでっ!!営業っ、できると思います…!!」
「はははっ、決まりだ。よろしく碇くん。これ俺のメアドと番号ね」
イタリアで理沙お嬢様と暮らせる。
そこに早乙女財閥の名前があるのなら、九条の家にも簡単に話は通るはずだ。
たとえそんな裏目に出る思いがあったとしても、それくらいしてまでの覚悟でなければいけない。
「あっ、あのっ、ちなみにイタリアにはお米はありますか…?」
「…日本食はイタリアでも人気だ。普通に米も海苔も売ってる」
「なら問題ないです!」
おにぎりを作ってもらえる。
毎日だ、毎朝、俺のためにお弁当をつくる姿が見られるんだ。
執事じゃなくなったとしても、男として隣にいられるなら本望だろう。



