今にも全身が爆発状態にあるけれど、不思議と安心もしていた。

だってあなたが誰よりも優しいこと、それをいちばん知っているのも私なんだから。



「いやっ、駄目です…!しません、俺は待ちます…!」



それでも甘い誘惑を振り払うように、碇は首を横にぶんぶんと振った。



「…っ、しょっ、章太郎っ!」


「───っ!」



ぐいっと引き寄せるために背伸びをして、首に腕を回す。

勢いだった。
勢いでここまでしてしまった。


ちゅっと、初めて私から重ねた音。



「こ、これは命令よ…!私の言うことは何だって聞くんでしょう…?……して、章太郎」



真っ赤な顔で放心状態の執事は、魂が抜けたようにパチパチと瞬き。



「…嫌…なの…?」


「えっ、嫌なわけない!!!むしろ俺は今日にでも理沙お嬢様を抱きた───」


「ちょっ…!!ここ学校よ…!?馬鹿じゃないの…!!?」


「あっ、わっ、もっ、申し訳ありません……!!馬鹿です…っ、俺は馬鹿です…!!」



そのとき私はきっと。
ありえないくらいに、自分じゃないほどに。

この執事兼、恋人のことを。


もっと求めて、欲しがってしまうんだろう。