もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





エマはどんな顔をしてくれるかしら。

ぜったい喜んでくれること間違いナシだろうから、想像しただけで笑みがこぼれた。



「あの、でも、ふたりきりのときは、」



さらっと覗きこまれる。

実年齢よりどこか若くも見える顔立ちは、今まで以上に目を奪われてしまう。



「んっ…、」



ふわっと、ひとつ。

2秒ほど合わさった柔らかさ。



「……こういうことをしても、いいですか…?」



キスが好きだと言っていた。

もしかすると明日から、いや今日から、耐えがたい毎日が訪れるんじゃないかと。


私も同じ気持ちだと伝えるように、うなずいた。



「…すみません理沙お嬢様…、でも俺……、さっきのように耐えられるか分からない、です、」


「……、耐えなくても、いいわ」


「……え、」



また目を真ん丸くさせて、マヌケな顔をして、それからまどろむ眼差しに変わった碇。



「…意味…、理解して言っておられますか、理沙お嬢様、」


「わ、わかってるわよ、」



もっと求めて欲しがってほしいのは碇だけじゃない。

私だって同じなんだから。