「理沙お嬢様…!」
それから昼食が終わって、余った昼休みはもちろん佐野様へと謝罪を込めて電話をかけ直した。
ふう…と一息吐いていた私に、専属執事は駆け寄ってくる。
「佐野様はなんと……」
「…別に平気よ。大したことじゃなかったから」
「そう…ですか、」
そんなの嘘。
せっかく時間を作って電話してあげたのにどうして出なかったんだ、僕を優先させるのが普通だろう。
結婚したらいずれは君に僕の事業を任せるつもりなんだから、こんなこと許されないぞ───。
なんて、長々とお説教を食らってしまった。
「理沙お嬢様…、先ほどは無礼な真似をしてしまい大変申し訳ございません」
「……、」
どういうつもり?
どうしてあんなことをしたの?
問いただすように聞きたかったけれど、言葉が出なくて黙りこんでしまった。
「ですが前にも仰ったように、私はっ、佐野様との結婚の先に、理沙お嬢様の笑顔があるとは───…、理沙お嬢様……?」