「あっ、まって…、そこはだめよ…っ」
「待たない」
「やっ…、いかりっ」
「…いいから、黙って」
「ひゃ…ぁっ、」
こんなの全身が溶けちゃうんじゃないの……。
舌に、唇に、手に、息づかいに、彼のぜんぶが私を犯してくる。
すると碇は、わたしを起き上がらせた。
「…見てください理沙お嬢様」
ここは聖スタリーナ女学院の寮であるマンション。
人工的に植えられた木や、オシャレな柵が周りを囲っているセキュリティ万全な8階。
外からは見えない仕様になっている窓のため、カーテンは無くても問題はない。
そんなブラインドすら上げられている窓に反射して映る、ふたりの男女。
「…すごく可愛らしい顔をしていますよ、見えますか?」
「っ…、バカ…っ!そんなの見せないで…!」
乱れたドレスから無防備に飛び出した肩、取れかかった下着が見えてしまいそうなギリギリ、見えそうで見えない歯痒さ。
どこか汗ばんだ身体、潤んだ熱っぽい目、艶々しく濡れる唇。
自分じゃないくらい、それは、一言で表すならば“色”。



