そんな可愛げのない反応すら、碇からすれば何よりも愛しいものらしい。
ドキッと胸を高ぶらせるリップ音を響かせて、何度も何度も落としてくる。
「んっ、」
今度は跳ねるもの。
私のモカカラーに指を通しながらも引き寄せられて。
ぎゅっと閉じてしまった目を安心させるかのように、がっつき過ぎないキスが繰り返された。
「……俺、キスが好きかもしれません」
「いっ、いちいち言わなくていいわよ…！」
「あっ、でも理沙お嬢様とのキス限定です！」
「っ～、もうわかったからっ！……でも…、私のほうが、よ」
むすっと口を尖らせながらも、じっと見つめてみると、碇は降参を表すように倒れこんできた。
「碇っ、重いわっ」
「……むりです…、理沙お嬢様のデレツンやばいです、」
「で、デレツンってなによ…」
「ツンデレの逆です、デレが先にきつつもツンなんです」
……よく分からないわ。
けれど碇は、私のそんなものに参っているみたい。
「…ほんと、佐野に取られなくてよかった……」
