ぼそぼそと伝えられて、和訳になってしっかりと届けられる言葉。
「お嬢様と執事の絆、今まで見てきたなかでいちばん最高だった。って、言ってくれてる」
それは私にも向けられた言葉だった。
すべてを捨ててまでも、お嬢様のためだけを思う執事の行動。
執事のことだけを信じ、信頼して下した、お嬢様の決意。
ミカエーラさんは瞳をキラキラと輝かせて私たちに握手を求めた。
「…あの、私は…、その昇格は辞退します」
けれど碇は、そんなことを言ってしまった。
渡されたバッジをミカエーラさんへと返すように、Sランクにはならないと。
「えっ、え!?なんでっ!?碇っ、ちょっとなんで!?!?」
みんなの意見を代弁してくれたエマ。
同じSランクである早瀬さんも、さすがにとの反応だ。
「私は…いえ、俺は、今回の行動は執事として行ったわけではありません。…ひとりの男として動いただけです」
早瀬さんは真面目な顔をして、ミカエーラさんへ静かに通訳をした。



