もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





───と、私と碇の近くに寄ってきた早瀬さん。

碇がここまで自信満々なのは、どうにも彼とのあいだに何かがあるみたいで。



「これは立派な正当防衛です九条様。執事であるこいつは、凶器を持って暴れた不審者を取り締まっただけ。…そうだろ碇」


「はい」


「だけどやり過ぎなんだよお前。確かに正当防衛を成立させれば法的にも問題ないとは言ったが」


「あっ、すみません…」



そういうことだったの…。

だから碇は、わざと佐野様からの攻撃を抵抗せず最初に食らっていたのだと。


おでこの血はもう、固まりつつあった。



「なるほどねえ。さすがSランク、やっぱ頭いいや」



ここで早乙女さんも混ざってくる。

周りは唖然としていて、みんな状況に追いつけていなかった。



「こいつ、佐野グループだっけ?そういえば佐野グループって、うちの下についてるとこが援助してた企業だった気がするな」


「っ…!」


「外していい?うちの財閥が管理してるとこなら、かなり力強いとこだと思うけど。
それが消えたらあんたのとこもキツいんじゃない?」


「そっ、それだけは……っ!!」



早乙女財閥の御曹司を前にして、改まってしまった佐野様は手のひらをひっくり返すようにひれ伏した。