私とバカエマが友達になったことで、歳の近い執事ふたりもよく話すようになっていて。
執事たちの会話を聞こえないふりでもするように、私はすでに切れてしまったスマートフォンをポケットにしまった。
その動きに逆に驚いているのが碇だ。
「よ、よろしいのですか…?理沙お嬢様、」
「…いーのよ。私も友達とのお昼を優先したい気分だったから」
「理沙っっ!!」
と、キラキラさせた笑顔で飛びつくように抱きしめてきた友達。
ほら、こんなところも子供っぽい。
でも高校1年生の秋頃から関わりがある私だから、今となっては慣れたもの。
「もうっ、危ないじゃないバカエマ!!気分よ、気分!別にあんたのためとかじゃないんだからねっ!!」
「うんっ!!碇のためだよねっ!!」
「そっ、それも違うわよ!!」
そう、これがバカエマが特殊な理由・その3だ。
私なんかと友達になってくれるのなんて、こんな素直じゃないお嬢様と友達になってくれるのなんて。
そんなの、どこ探したってこの子だけ。
「ねぇ理沙、佐野さま?って理沙の婚約者なの…?」
「…そうよ」
「そうなんだっ」



