まさかのそのまんま。
一応は執事という立場なんだから、せめて少しでも隠したらどうなのよ…。
「な、なんだよ、執事のくせに僕に指図できるとでも思っているのか?
Sランクならまだしも、そんな態度を取れるのはどうせCランクあたりだ───」
「俺はSランクだ」
「なに…?はっ、嘘をつくな」
すると早瀬さんが黒いタキシードの内ポケットから取り出した、あるもの。
それはSランク執事しか持つことができないと言われているバッジだった。
「これでもまだ言うか」
「なっ…!」
価値としてはこれだけで億単位だと言われるもので、もちろん売ったりなんかすれば捕まってしまう代物。
「うわ、すご。これ本物?」
「当たり前だろ。偽造できる素材で作られてねえわ」
早乙女財閥の御曹司とSランク執事の会話は、普通であればなかなか見ることができない。
彼らはいろんな意味で親睦が深いようで、まるで友達同士にも見えた。
そして柊財閥である姉妹がふたり。
歯向かえないメンツが揃いに揃ってしまうと、さすがの佐野様でも悔しそうに唇を噛んでいた。
「早乙女様、早瀬さん、アリサさん、エマ。私の婚約者が無礼な真似をして、大変申し訳ございませんでした」
「理沙…、」



