もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





「暴力はないんじゃないのお兄さん。この神聖な舞踏会をつぶす気?」



早乙女さんは静かな声で威圧を出しながら佐野様へ詰め寄った。



「っ、離せ、このガキが僕に生意気なこと言うから当たり前の躾なんだ…!!」


「しつけ、ねえ。俺も似たような思考してたけど暴力はしなかったよ。
てか、誰の義妹(いもうと)に失礼なこと言ってんの?」


「…いもうと…?」


「そーだよ。早乙女財閥の御曹司なんだけど俺」



その名前を聞いた佐野様は、見たこともないくらいに顔を引きつらせた。


それもそうだ。

早乙女財閥は、日本7大財閥といわれる有数財閥のなかでもトップを張る名前なのだから。



「それに、あんたが殴ろうとしたエマは柊の娘だよ?こんなアホっぽい顔してるけど柊財閥だからね」


「っ…!!うそ、だろ、」



「アホってひどいっ」と反応するエマを軽くあしらった早乙女さんは、鋭い眼差しに変える。



「でも俺がいちばん怒ってるとこはそこじゃなくて。───俺の愛する彼女(婚約者)をこんな顔にさせたってとこなんだよ」


「っ、」



アリサさんは優しい女性。

たったひとりの大切な妹を傷つけられそうになって、今も自分のことのように胸を痛めていた。


それを見れば婚約者である早乙女さんが怒るのも無理はない。