もっと求めて、欲しがって、お嬢様。





碇が選んでくれたの、髪の毛だって碇がやってくれたのよ。

かわいいでしょう。
エマはかわいいって言ってくれた。



「今すぐ着替えることはできるだろう?」


「…できないです」


「なんだって?そんな格好、一緒に踊る僕が恥ずかしいじゃないか」


「…すみません、」



だったら踊らなくていい。

そのままお帰りになってくれればいい。



「ほら理沙、行くぞ」


「………」


「理沙?」



嫌だ、行きたくない…。

エマとバルコニーに行くって言ってたもの。

そっちのほうが楽しみだし、あなたとは踊りたくなんかないわ。


だけど断ってしまうほうが怖いから、ぜんぶ諦めて腕を取ろうとすれば───、



「もーっ!!なんかやだっ!!」



ちょきんっと、私と佐野様を離れさすようにエマが割って入った。



「バカエマ…?」


「理沙っ!おかしいよ!!こんなのが本当に婚約者なの!?理沙、謝ってばっかだしっ、ぜんぜん楽しそうじゃないしっ、
こんなやつと結婚したって幸せになれるわけないじゃん…!!」