「碇、その切り分け方は断面をつぶす。食事は見た目も大切だ」
「あっ、はい!」
「これは俺個人の見解だが、なるべくお嬢様がナイフを1回だけ通すようなサイズにするといい。最低でも2回だ。
1回で2倍になる考えを常に置いておくと色んなところで役に立つ」
「は、はいっ!……さすが早瀬さんだ、」
執事仲間であるとしても、碇は早瀬さんへと尊敬の眼差しを送る。
ここのお嬢様に仕(つか)えるどの執事だってそう。
それは───、
破壊神で疫病神といわれるお嬢様の執事である早瀬さんは、かつて執事学校を首席で卒業したほどのSランク執事だから。
ルックス、仕草、身のこなし方、すべてが文句ナシのパーフェクト。
そんなエリート執事が、バカエマに忠誠を誓った専属執事だと。
それが特殊な理由・その1。
「ねえ、バカエマ。あんたちょっと雰囲気変わった?」
「へっ!?」
「なんか…大人っぽくなってない?」
「えっ!?そ、そう!?もう17歳だから…!!えへっ、ふふっ、ふへへっ」
………怪しすぎる。
スッと目を逸らした早瀬さんもそうだし、エマは爆発寸前なくらいに真っ赤でキョロキョロさわさわと挙動不審。



