生徒会室へ行こうと足を向けた矢先、そう声をかけられた。
ソプラノの高い声。
媚びを打ってきている女の声だった。
「裏信くんっ、」
「......何かあったかな?」
声をかけられて、思わずいつもより低い声が出る。
......めちゃくちゃわざとらしい。
「......あのねっ、ほら、このプリントって今日中だったでしょ......? だから出しに来て......」
「ん? ああ、確かに今日中だけど、なんで先生に出しに行かなかったの?」
そう尋ねる。
分かってるけど、わざと尋ねる。
なかなか腹黒い、ということはもう自分で分かっている。
「ぇ......っと、......」
何を言えばいいのかわからないのか、もごもごと口を動かす女。
......はあ、ほんとウザい。
「先生に知らせとくね。このプリント、預かるよ」
「え......あの」
「じゃあ、生徒会室に行かなきゃいけないから」
そう言って、その女に背を向けて歩き出す。
『じゃあ、生徒会室に行かなきゃいけないから』
それは平たく言ってしまえば、もうかまってくるな、という意味。

