「......何してんの?」



体が引き寄せられて、よろめく。

転ぶっ......。

ぎゅっと目をつぶるも、衝撃はやってこない。

先輩......?

来て、くれたの?

私、逃げ出したのに......。



「......せん、ぱ、」

「何だよお前、っ!」



私を背中に隠して、先輩が立つ。



「悪いけど、この子、俺の友達だから」



捨て台詞を残すと、先輩は私の手を引いた。



「先輩、......天、先輩、」

「逃げちゃお」



いたずらをする子供みたいに、そう言って。

先輩は、走り出した。




  ✦゜

  .゜






「ここまでくれば大丈夫、かな?」



先輩がそう言っている声を聴きながら、私はうつむいた。



「先輩、......ごめんなさい」

「え?」

「私、......勝手に走ってったのに、先輩に助けてもらっちゃって、」



迷惑、かけっぱなしだ......っ。