私には、先輩に家に来てほしくない、明確な理由がある。
「だけど、」
「大丈夫、ですから......っ」
そう言い残して、私は図書館を飛び出した。
「......はぁ......」
溜息をつく。
ああ、もう本当、何やってるんだろう......。
先輩のところから、ダッシュで逃げてきちゃうし。
「私って、本当、ダメだなぁ......」
そうぼやくと、足音が聞こえた。
誰かが、歩いてくる感じの足音。
出かけてるのかな?
そんな風に思って、特に気にしなかった。
───肩をつかまれる。
「っ......!?」
「あー、かわいー子発見~」
ダルそうにそう言う声が聞こえて。
......っ、どうしようっ、見えないっ............。
何も見えなくて、怖くなる。
気配からわかったけど、数人いるみたいだ。
「あ、この子、俺好みだわ」
「は? え、マジ?」
「ってか、これ、どうなってんの? 赤目白髪?」

