しかし、セイは将来に纏わる大事な話だからこそ、続きを伝えなければならない。
「今回、夢の実現に向かうチャンスが訪れたから伝えなきゃなと思ってて」
「うん」
「来月から約2年間、お互い別々の地で暮らす事になる。まだ恋人らしい事を何1つしてやれてないのに、ごめんな」
セイは遠い目でそう言い、紗南を日本に置いていく姿を思い描いた。
一方、紗南は消えていきそうなほどの暗い声が届くと、留学がよりリアルに感じた。
留学先がアメリカか…。
今度はコンサートなどの短期海外公演ではなくて、丸2年間日本からいなくなってしまう。
カーテン越しから声が聞けなくなるどころか、長い間メディアからも姿を消してしまう。
嫌だ…。
もう二度と離れたくないと思っていたのに。