保健室で彼に会った日から、およそ1週間後の朝。

自宅のベッドで眠っていると、枕元に置いてあるスマホに彼からSNSメッセージが届いていた。



どうやら今日は会えるらしい。
1週間ぶりに会えると思ったら、嬉しくてベッドの上で飛び上がった。

先日の生放送番組で彼が手でエスマークを象った姿を見て、深く幸せを噛み締めて心穏やかなひと時を過ごしていた。




1週間前みたいに保健室の扉を開けて廊下へ出たら、また冴木さんが立っていたら嫌だな~なんて思いながらも、やっぱり会える喜びの方が優っている。

募る想いは、まるでパンク寸前に膨らんだ風船のよう。











それから登校し、彼と約束の時間になって保健室へ。


窓際のカーテンは開いている。
彼はまだ来ていない。
どうやら私が先のよう。
ギュッと布団を握る指先に照れ臭さを隠す。



到着後からおよそ10分程度で彼が到着。

養護教諭から手渡された書類を書き終えると、彼は窓際のベッドに横になった。



それから私は、養護教諭が部屋を離れたと思われる隙を狙って、いつもみたくカーテン越しから声をかけた。



「セイくん、1週間ぶりだね」

「紗南の声が間近で聞こえて嬉しいよ」



これがなかなか会えない私へのリップサービスだとしても、嬉しくて涙が滲み出てくる。


話したい事は山ほどある。
でも、2人に許された時間はほんの僅か。