「お前と再会して確信したんだ。お前が隣に居たら、俺は自分らしく生きれるんじゃないかって。お前の笑顔を原動力にしたいから、忙しくて会えないとかは無しにして、忙しくても傍にいるって関係はどうかなって」

「セイくん……」


「もう二度とすれ違いたくないんだ。ここが地獄だと忘れてしまうくらい、俺が幸せにすると誓うよ」

「………っ」


「生まれた笑顔は絶やさせない。悲しくて辛い涙は流させない。決してお前を傷付けたり苦しめたりしない。絶対ひとりぼっちにさせない。約束する。お前がくれた、この勇気の飴に誓って」



自信に満ち溢れた表情のセイは、右手に握りしめていた飴を手の平から覗かせて微笑んだ。







セイくんはバカだ。

誰もが知る超人気歌手なのに、ごくごく普通で一般人の私と同棲したいと言ってる。


同棲が発覚してスキャンダル記事が出たら、セイくんは紛れもなく芸能界から干されてしまうだろう。

昨日までアメリカで学んだ事が全てパァになるかもしれないのに、敢えて危険な橋を渡ろうとしている。






でも、私はそれ以上にバカだ。


セイくんの言葉を信じたくて仕方がない。
本気で一緒になりたいし、どんなに辛い事があってもひと時も離れず、ずっとずっと傍に居たい。




自分の人生の主人公は自分だ。
産声を上げて生誕した瞬間から、人それぞれの人生が始まっている。

1人1人が別々のドラマを描けるように、神様は人間にイタズラを仕掛けている。



以前の私は、彼の為に気持ちを無理矢理押し殺したり、限界に達するまで我慢をしたけど、最終的に自分が幸せじゃなかった。

私は、いつしか自分を大事にする事を忘れてしまっていた。