そうだ…。
思い出した。

セイくんは意地悪だった。



まさか保健室のベッドで待機してると思わなかったから、養護教諭に向けてセイくんへの本音を丸裸にしていた。

セイくんは揺るぎない気持ちを確信したから、私が告白してくる事を期待しているのかも。


やだ…。
どうしよ。



紗南は額からは、尋常ではないほどの量の汗が湧き出る。



「紗南」

「………ハイ」



キタ…。
絶対絶命のピンチ。
次の一手が何となく見破れてしまう。



「さっき、歌を口ずさむ前に《勇気の飴》食ってたよな。隣から飴袋を破る音が聞こえたから」

「あっ……うん」


「飴を食ってたって事は、いま何か勇気を出したい事があるの?」

「……っ!」



私から究極なひと言を引き出そうとしている、意地悪セイくんの暴走は止まらない。