「あっ…え………、セイくん……?」



まるでUFOでも見た後のような反応に。
まさか、本当にセイくんに会えると思っていなかった。
名前を呼ばれても未だに信じられない。



「どうしてここに……?しかも、ベッドの下の上履きが生徒のものだし…」



今は嬉しいという気持ちを通り越して、恋心が風船のように膨れ上がっている。

再会したら言いたい事が沢山あったのに、不意打ちを食らったせいか何も考えられない。



「あぁ、その上履き?西校舎は警備員が巡回してるから面倒だと思って東校舎から上がったんだけど、想像以上に床が冷たかったから、その辺にあった上履きを適当に借りた」

「適当に上履きを借りたって……」


「後でちゃんと返すから心配すんなって」

「いや、上履きの話は別にいいんだけど…。さっき杉田先生はセイくんが来ている事を教えてくれなかったから、てっきり普通科の生徒がいるかと…」


「こんな悪天候の日に具合が悪かったら、普通帰宅するだろ」

「そうだよね…。でも、さっき杉田先生に生徒が横になってるかと問い尋ねた時に、『随分長い時間横になってる』って言って、私の話に便乗していたから、本当に生徒がいるかと思ってたよ」


「ははっ。俺なら昼飯も食わないで2時間以上も黙ってベッドに横になってたよ」

「もぉぉ…。そうじゃなくって……」


「杉田先生が俺がここに来てる事を言わなかったのは、お前が俺との再会を心待ちにしている事を察したのかもな」



まるで2年間離れていた時間が嘘だったかのように、彼とは自然に会話を交わしていた。