国際便の出発口手前に到着すると、冴木は足を止めて後方に歩く2人へと振り返る。



「2年間という時間は長いようでとても短い。アメリカでより多くの技術を学んできなさい。それと、時差があるから体調を崩さないようにね」

「冴木さん。留学の手続きから準備。何から何までありがとう」

「到着したら必ず連絡します」


「えぇ。時差があるから連絡はメールでいいわよ。じゃあ、気をつけてね」

「はい。行ってきます」


「……あ。それと、セイ」

「はい…」


「色々と迷惑をかけてごめんなさい」



冴木は気が咎めたように頭を下げた。


勿論、紗南との仲を引き裂いた件について謝ったつもりだった。
謝罪内容に触れなかったのは、空港まで見送りに来てくれたファンを気遣ってこそ。



しかし、セイには冴木の気持ちがちゃんと伝わっている。
だから頭を2回を頷かせてファンに軽く手を振り出発口へと消えて行った。