KGKの2人は駐車場で待機している冴木の車に乗り込んだ。
「冴木さん、お待たせ」
ジュンは後部座席から身を乗り出して運転席の冴木に伝える。
「会見まであまり時間がないから、すぐに出発するわよ」
冴木は振り向かずにスマホをタップする。
タイムロスはおよそ30分。
現場入りの時間は大幅に遅れたが、まだ何とか間に合いそうだ。
騒動の一部始終を目撃していた冴木だが、遅れて来た理由を敢えて問わない。
冴木が駐車場の清算を終えて戻って来ると、車のエンジンをかけて、ラジオのスイッチを入れてから発車。
流れる景色を見ながら後部座席に大人しく座るセイ。
窓に映るいつもの景色は今日で見納めに。
心の中にしこりは残されたまま。
閉じた瞼の先には笑顔の紗南の幻影が映し出されている。