KGKの2人が普通科から追放されて、一旦事態に収拾がつくと、廊下に散らばっていた生徒達はそれぞれの教室へと戻って行った。


すると、廊下をまばらに行き交う生徒達の隙間から、腕組みをしている大人の女性が姿を現す。



そう…。
その女性とは冴木だ。

彼女は人混みに紛れながら、今回の騒動を見守っていた。








時を遡る事、10分前。

冴木は記者会見場のホテルに2人を送る為に駐車場で待機していたのだが、約束の時間になっても2人が姿を現さないので、心配になって校舎まで足を運んだ。



すると、3時間目の授業中だというのに、校内は何やら慌ただしい。

騒々しい声が漏れてくる職員室に向かうと、警備員2人を引き連れて東校舎の方へと走り出す教師や、教頭と相談しあう教師達の様子が視界に飛び込んできた。




校内でトラブルが遭った事は一目瞭然だった。



冴木の瞳に映し出していた光景は、まるで10年前に事を荒だててしまったあの時のよう。



ただならぬ雰囲気を漂わせる職員室内と、出発時刻になっても姿を現さないKGKの2人を思い描いたら、嫌な予感が。









今朝、セイと紗南が視聴覚室で別れ話をした事までは確認出来ている。
だから、余程の事がない限り2人の縁は切れているはずだと思っているが…。


《例外》という事柄も視野に飛び込んできた。


その例外というものを作り上げてきた人物は、10年前の自分自身。
例外はあり得ない話ではない。