本来なら駐車場で待機している冴木さんの元に向かって、一刻でも早く学校を出発しなければならない時間だ。

でも、もう後戻りは出来ない。



「確かに俺には非があった。お前の言う通り、夢を叶えてあげる事が出来ない」



「……でも、よく考えたら、大雪の日を迎える為に、バカ正直に何年も待ち続けていたお前が、1週間にも満たないほどの音信不通に耐えられない訳がないんじゃないかって」



「お前は長年に渡って俺の言葉を信じていた」



「さっきまでは、間に第三者が絡んでる事を知らなかったから、お前の話をただ鵜呑みにしてしまったけど……。長年待ち続けていてくれた事が、今のお前の全てじゃないかな」



口を黙らせてじっと聞き入る紗南。

全開の扉から差し込んでくるセイのひと言ひと言は、灼熱の炎を浴びているかのように、熱く胸を焦がしていく。