「なぜ、そんな酷い事を……」

「何度も警告したでしょ。ビデオを回したのは、貴方が私を裏切った時の保険よ」


「それ、どーゆー意味ですか?」

「出国まで残り1日。万が一、貴方達が復縁してしまったら、今日の話し合いはチャラになってしまう。セイは貴方が絡むとまた問題を起こすわ」


「セイくんは、問題ばかり起こすような人じゃありません!」

「…もし、留学延期になった理由が恋愛沙汰だと世間に知れ渡ったら、セイのイメージダウンに繋がる。もしそうなった場合、スポンサー契約の解除が相次ぎ、多額の違約金が発生する。だから、いざという時の為にビデオを回したの。私達も商売人だから、被害を被った場合はセイのスキャンダル情報をマスコミに売って、事務所のマイナス計上分を補填するつもりよ」



冴木は強気な姿勢を崩さず、紗南の気持ちを逆撫でする。



「どうして…。セイくんは身内じゃないんですか」



紗南は次の一手に恐怖を覚える。
問題を起こしたら身内でも簡単に切り捨てるという残酷な考え方がどうも腑に落ちないでいた。