セイはジュンと約束した視聴覚室に到着。

早速、視聴覚室の扉に手をかけていざ中に入ると、そこには見知らぬ先客が居た。



一瞬、胸がドキッとした。
授業開始の25分前で視聴覚室周辺は静かだったし、ジュンが遅れて来る事が先にわかっていたから、視聴覚室は無人だと思っていた。


先客は、三列並んでいる中央座席のど真ん中に着席していた。
紺色のブレザーを着た髪の短い女子生徒が、正面のスクリーン側を向いて姿勢良く座ってる。


俺には後ろ姿を見ただけで、すぐに誰だか判明した。



「紗南………。どうしてお前がここに」



心臓が止まりそうなほど驚いた。

連絡手段が遮断されて打つ手もないまま時を過ごしていたけど、約束すらしていないのに視聴覚室の椅子に1人で座っていたのだから…。



紗南はセイの到着に気付くと、後方扉にいるセイの方へとゆっくりと振り向き、今にも泣き出しそうな雰囲気で寂しそうに微笑んだ。