恋愛はもうしないと決めたのに、次期社長にアプローチされて困ってます!

ジッと見つめられ、五月は首を慌てて横に振る。カフェのメニューを見て気になってはいたもののそこそこ値段が高かったため、紅茶だけを頼んだのだ。

「食べたいんだったら好きなだけ食べて?お代は僕が払うから」

「えっ、ダメです!ケーキ食べたかったのは私ですし、ちゃんとお金ーーー」

五月の言葉は途中で総悟の長い指によって封じられてしまう。唇に触れた指がどこか熱い。

「好きな女性には僕、何でもしてあげたいんだ。だから僕がお金を払う」

「……あ、ありがとう、ございます」

真っ直ぐな総悟の目を見ていると、それ以上拒否することができず五月はお礼を言い、フォークを手に取る。ケーキを口に入れると、りんごの甘みとくどすぎないホイップクリームの味が広がった。

「おいしい?」

「はい!とてもおいしいです!」

笑顔を浮かべた五月に総悟は顔を近付ける。そして、五月にしか聞こえない甘ったるい声が耳に入り込んでくる。