恋愛はもうしないと決めたのに、次期社長にアプローチされて困ってます!

総悟の表情は変わることがなく、穏やかな笑みを浮かべている。昨日のようにその頰が赤くなることもない。

(やっぱり、昨日は恋川さん酔って変なことを言ってたんだ)

ギュッと胸が締め付けられる感覚を覚え、慌てて五月は「恋愛禁止!」と心の中で繰り返す。デスクに腰を下ろすと、朱莉が「おはよう」と声をかけてきたため、挨拶と軽い雑談を交わし、仕事を始めた。

年齢層に合わせたメイク用品の特徴や使った人の声をまとめ、一ページずつ資料ができていく。総悟は「夕方までに」と言っていたものの、お昼にはできあがってしまった。

「恋川さん、資料ができあがりましたので確認をお願いします」

「えっ、もうできたの?早いね」

資料を持って五月が総悟に声をかけると、彼は驚きながら資料に目を通していく。そして、「ちょっといいかな?」と小声で言い、五月は空き部屋に連れて行かれた。

「恋川さん、何か不備がありましたか?」

これから説教が始まるのではないか、そう覚悟しグッと拳を握り締めた五月だったが、その体はふわりと総悟に抱き締められる。