【目を奪われていた女】 ─宮崎花梨(みやざき かりん)の場合─ 体育祭の全体練習をするために、全学年が集まったグラウンド。 そこで憧れの岬(みさき)先輩に目を奪われていると、テントのパイプに思いっきり顔をぶつけた。 ゴンッという鈍い音の後に襲ってくる激痛。 足元の砂には赤い水玉模様。 高校に入学してから2年と2ヶ月が経った今日。 私、宮崎花梨は初めて学校で鼻血を流しました。