生徒会室に行こうと、仕事を終えて足を向かわせる。

 その時、背後から新さんの声が聞こえた。

「栞。」

「……っ!び、びっくりしました……。」

 突然重低音の声が聞こえて肩を震わせてしまい、乾いた笑みを浮かべながら新さんのほうを向く。

 だけどその瞬間、ある疑問が頭の中に浮かんだ。

 いつもは新さんと鉢合ったりしないのに、どうして今日は……?

 生徒会に入ってずいぶん経つけど、今みたいに新さんと道中で会った事がない。

 どういうことだろうと疑問を抱き、首を小さく傾げる。

 でも新さんはそんな中、私の手をぎゅっと強い力で握ってきた。

 へっ……?

「栞、今日は帰る。」

 呆気に取られている私を置いて、新さんは私の手を握ったまま歩きだした。

 引っ張られるような形になって、抵抗もできずに連れていかれる。

「ま、待ってくださいっ……!」

 流石に訳が分からなくて、大きな声で新さんにそう言った。

 ……新さんの様子が、いつもと違う。

 いつもなら振り返って「どうした?」って聞いてくれるのに、今日は振り返ってくれない。