「栞を生徒会に加入させたのはどうして?君なら許したくなかったはずでしょ?」

「……あいつの気持ちを、優先したかっただけだ。」

 ずっと疑問に思っていた事を尋ねてみると、神々は何でもないというようにそう言った。

 へぇ……溺愛は、本当なんだ。

 俺にはそんな気持ち分からないけど、神々がどれだけ栞のことを大事にしている事だけは分かった。

「僕は今から生徒会に向かうけど、栞のこと連れ帰さなくていいの?あんな狼だらけのとこにいさせて。」

 “狼”。

 その単語にあからさまに反応を見せた神々の表情はやっぱり、感情が読めない。

 何となくなら分かるけど、考えるのも面倒かな。

「……今日は栞を連れて帰る。」

「どうして?」

 そしてすぐに……そんな決断を下した神々。

 栞のことになると決断が早いなぁ……それも興味深いけど。

 俺はわざと何も分かっていないような素振りを見せ、面白く思い口角をあげる。

 だけどその途端、神々は吐き捨てるように俺の言葉に返した。

「分かってるはずだろ。」