私もなんとか明李君の腕の中から解放され、無意識のうちに息を吐く。

 それでも明李君は納得がいっていないのか、ぷくーっと可愛らしく頬を膨らませていた。

 うーん、何がそんなに嫌なんだろう……?

 だけど私は明李君の気持ちを鎮めるために、よしよしと明李君の頭を撫でた。

「栞~、ありがとっ……!」

 私のよしよしで機嫌が直ったのか、明李君は膨れっ面から笑顔に戻った。

 うん、やっぱり明李君は弟みたいだ……。

 流石に本人に面と向かって言わないけど、そんな思いを私は抱えていた。