弟がいたらこんな感じなのかな……ふふっ。

 一人っ子だから今までそう思ったことはなかったけど、可愛いなぁ……。

「栞っ!」

「ひゃいっ……!」

 うーんと考え事に耽っている時、明李君に名前を呼ばれてあからさまに驚いてしまう。

 そ、そう言えば明李君から質問されてるんだった……。

「僕の質問に答えて~!気になって仕方がないのっ!」

「え、えっとね……。」

 明李君本人から催促されてしまい、急いで頭をフル回転させる。

 な、何て言えばいいんだろう……こういう時……。

 理事長に呼び出されたのは放送があるから事実だとしても、その内容の中身は何もない。

 あろうことか理事長本人じゃないと言われてしまったから、頭を分かりやすく抱えてしまう。

 でもここで誤魔化したって、好奇心旺盛の明李君の事だから突っ込まれてしまうのは分かっていた。

 何か……嘘っぽくなくて、内容があるもの……。

「あっ!僕分かったかも~!」

 ぐるぐると頭を回して考えている最中、和向君が前触れもなくそんな声を上げた。