気になる事はたくさんあるけど、まずは授業をきちんと受けなきゃ!

 そんなモヤモヤした気持ちを抱えながらも、私は教室へと戻った。

「確定、だね。」

 ……ふっと笑みを漏らした人物がいたことにも、気付かずに。



 教室に戻ってから授業を受けて、意味もなく小さく息を吐く。

 先生は私が本当に理事長に呼び出されたと思っているのか、さっきの行動について詮索してくることはなかった。

 そのおかげで安心する事はできたけど、先生を騙しているみたいで申し訳ない。

 先生、ごめんなさいっ……!

 心の中で謝罪の言葉を先生に言って、罪悪感を払拭しようとする。

「栞、さっきの理事長のって結局何だったの?」

 ふるふると小さめに首を左右に振っていると、突然明李君から尋ねられた。

 明李君は不思議な表情をしながら、私に相変わらず抱き着いている。

 弟みたいで可愛いとは思うけど、最近はその頻度が多いような……?

 気のせい……とは思えないほどいつも抱き着いてきていて、最初こそ抱いていた恥ずかしさなんて最近は感じていない。