「はい……。」

 理事長は早々に電話を切ってしまい、私も生徒手帳をポケットにしまう。

 でも本当に、意味が分からない。

 理事長が違うって言うなら、一体誰が……。

「……っ!」

 そのタイミングでまた邪気を感じ取り、慌てて踵を返す。

 そう言えば邪気のほう、まだ片付いてなかった……。

 今教室に戻っても変に怪しまれそうだし、邪気を浄化してから戻ろう。

 私はそう思いながら、邪気を感じたほうへと足を進めた。



 ふぅ……何とか浄化できた。

 邪気を見つけた場所は使われていない空き教室で、私でも驚くほどの邪気の量だった。

 あの量は流石に、骨が折れそうだったなぁ……あはは。

 この学園中の邪気が集まっていたのか、少しだけ手間取ってしまった。

 だけど無事に浄化できたから、別に気にする事でもないよね……。

 ただでさえ邪気が移動している謎現象があるって言うのに、これ以上仕事を持ったらまた魔力風邪が再発する。

 それだけは避けたくて、私は一人で喝を入れた。

「よしっ!とりあえず、教室に戻ろう!」