《2ーS、柊木栞さんは至急理事長室に来てください。》

 簡潔な放送が流れ、一瞬シーンと場が静かになる。

 だけどすぐにはっと我に返って、大きな声で先生に言い放った。

「せ、先生っ!すぐ戻ってくるので、少し行ってきます!」

「わ、分かったわ……。」

 先生は私の声にびっくりしたのか、呆気に取られながらもそう返してくれた。

 でも私はそれをまともに聞かずに、教室を急いで飛び出す。

 授業中なこともあって、廊下は誰もいなく静かだった。

 ……一応、確認しておこう。

 私は生徒手帳を開き、理事長にさっきの事について確認する。

 何も考えずに理事長室に行って、そんなところを生徒さんや他の先生方に見られたら一巻の終わり。

 そんな事をぼんやりと考えながら、私は理事長に電話をかけた。

《神菜さん、どうしたんだい?》

「どうしたもこうしたも……理事長、さっきの放送なんですか?」

 数コール目でやっと繋がった電話で、開口一番にそう言う。

 理事長はさっきの事を忘れているのかでも言うように、呑気にそんな事を言っていた。