その時、嫌な気配を感じ取ることができた。

 ざわざわしていて、重たい邪気を含んだ魔力。

 ……しかも、大量に。

 だけど今ここで授業を抜け出したら、確実に怪しまれてしまう。

 それに、授業を受けないと勉強についていけなくなる恐れがある。

 そ、それは絶対ダメっ!

 でも、そんな事を考えている間にも邪気魔力は大きくなっていく気配を感じる。

 心の中のざわめきが一層増して、気付けば私は席から立ち上がっていた。

「ひ、柊木さん?どうしたの?」

 大きな音で勢いよく席を立ってしまった為、先生が大きく目を見開いて驚いている。

 や、やってしまった……。

 魔術関係になると体が勝手に動いてしまうのは、前々からの癖。

 少しだけ厄介だから治そうとも考えるけど、何かがあった時すぐに動けなくなるのが怖い。

 ……って、今はここを凌ぐ言い訳を考えなくちゃっ!

「あの、先生……」

 その瞬間、辺りに放送を知らせるチャイムが鳴り響いた。

 ピーンポーンパーンポーンと音がした後、スピーカーから聞こえたのは理事長の声。