「栞、ほら行くぞ。」

 そんな栞を見ているのがなんだか辛くなり、気持ちを紛らわせる為栞を半ば強引に教室へと連れ帰した。

 歩幅が合っていないのか栞は何度もこけそうになってたけど、今はそれどころじゃない。

 ……やっぱり、やるべきじゃなかった。

 勢いとはいえ、栞の腕を掴んで引っ張っている状態。

 自分からそんな行動に移したことはこれまでなかったから、自然に熱が顔や手に集まってくる。

 だから俺は、どれだけ初心だったんだよっ……!

 心の中でそうツッコミを入れながらも、冷静さを保つ為に栞にバレないように息を吐いた。

 ……これも、アピールの第一歩だって思っておけば、良いか。

 俺は半ばやけくそになりながらそう思うことにし、自分を無理やり励ました。